現在地

とうとう当日を迎えた。

 

7月17日はかなりの猛暑に見舞われ、嫌がらせでもされているような気分だった。

いざステージに立つとひとつ思うことがあった。

人にどう魅せるかより自分がどう在るべきかということ。

ソロは初なんだし上手くなんてできっこないのも分かっていた。

それに追い討ちをかけるようにして機材が3回止まった。

観客からは長くできる!長くできる!と励ましの声とは裏腹に、緊張も伝わってきた。

最高な心地だった。

 

今年のラップスタアや自分の周りの素晴らしいアーティスト達を目の当たりにした。

周りの皆がステージに立つ姿を見ると自分だけが別の時間を過ごしているように感じた。後にそれは自分の思いが突っ走っていたことが故の違和感だと感じた。

 

赤坂見附のホテルから見る東京はいつもと同じで、自分だけがそこに取り残されている感覚があった。

目に見えない気持ちを言葉を通して表現できるのがラッパーなら、今の自分には壮絶すぎて上手く消化しきれなかった。

 

まるでドラマや映画のように感じることも実は概念的な話で、ちゃんと思い返せば大したことなんてなかった。

 

2023年8月14日Cxndyというどこにでもいる1人の男が音楽を辞めた。

自分なんかが辞めてもきっと誰も何も思わないだろうなと思っていた。それなのに色んな人達から100通ほどのDMが届き、また1人で落ち込んだ。

少し飛ぶが、皆さんは大麻が好きだろうか?

百薬の長が故の概念的依存に自分は苦しむ夜があった。行き場のなくなった思いを相殺してくれる居場所に縋っている自分はさながら今日の新宿と重なった。

そして家族や仲間に迷惑をかけてしまう一歩手前まで事は迫っていた。家族は元々知っていたが、最終的には自分に音楽を辞めるようにまで言わせてしまった。

なぜだかそれを素直に受け入れられる気持ちが自分にはあり、板挟みにされるような気分だった。

でも分かるでしょ?なにより大切な人達にそれを言わせてしまうことが何より失格だと思った。

なんだそんな理由かよ。と呆れて思う自分のことを心配してくれた人達の気持ちを裏切るようで皆んなの顔を上手く見れない。とても情ない。

 

ある日、長野に住んでいる友達にこんなことを言われた。お前は自分の言葉で自分を突き動かせる力があるって。それは言われるまで自分では気が付かない事だったが、音楽による武装をしているという事実に気付かされた。そんな強さはクソ喰らえ

 

あなたは好きな人がいますか?

ならその人を守れる強さを身につけなくてはならない。それはコカインでは収拾がつかない。大麻では忘れられない。もっと核にある強さ。

それを磨く為に自分は一度音楽を辞めるという決断をした。

 

薬物と仲間や家族を天秤にかけると1ミリたりともその天秤は右に傾き動かない。そんな当たり前なことを身をもって体感した。

音楽を辞めると言って友達に泣かれるなんて微塵も思わなかった。こんな理由を伝えた後の涙は悔し涙だろうか、またはその両方だろうか。それに言葉は必要なかった。自分の弱さを受け入れてくれる場所はいつまでも存在しない。だから自分で作る必要がある。

 

誰と比べたり、誰を妬んだり、僻んだり、貶したり。

もう全部辞める事にした。

 

そして全部辞めた後に俺には何が残る?

仲間と家族と好きな女だった。

繰り返すが、今はこれを守る為の力を身につけなくてはならない。

 

もし、自分がその力を手にすることができた時はどうか温かい目で見守ってほしい。皆が当たり前に持っているものを自分は持っていない。

 

だが皆が持っていないものを俺は持っている。

それを次は東京でもう一度表現させてほしい。

 

そして仲間と笑顔でもう一度In On FreeKのステージに立たせてほしい。

俺はかなりダサいけどカッコいいでしょ?

今は責任感が生まれたから

 

ここまで長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

そしてごめんなさい。

 

またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。